色のお話:黄色(オレンジに向かって〜)
黄色:中間からオレンジに向かって
プライマリー・イエローは、中間の黄色です。理論上では原色と、黒、白でどのような色も作れるのですが、黄色との中にも、色々な黄色がありますよね。この黄色後編では、理論上の原色に最も近いプライマリー・イエローからオレンジ系のイエローへのご紹介です。
プライマリー・イエロー

この原色(プライマリー・カラー)は、学校での授業などで、混色や色の理論について勉強する際にとても役に立つ色です。または、点描画法を試してみたいアーティストに取ってもこの色が役に立ちます。何故なら純粋な原色がこの画法に向いているからです。
原色のスペクトルに一致する単一顔料がないため、マティスではイエローにホワイトを混ぜてこの色を作っています。この色はとても明るく、純粋な黄色で混色の際に幅の広い長所を出す色で、とても美しくお手頃の価格に収まっています。あなたの中に潜んでいるジョージ・スーらを呼び起こすには十分です。
イエロー・ミッド(アゾ)

イエロー・ミッド・アゾはカドミウムの色に比べて、コストがかなり安くなるため、アーティストにとっては、予算的に厳しい場合とても助かる色になります。そして、この顔料は耐光性もATSM Iと高く、優秀な顔料で有ると共に手頃な料金を実現できてきます。これは多くのアーティストにとってとても重要な点です。
次に、カドミウム・イエロー・ミディアムの代わりにこの色を使う理由は、透明度にあります。不透明度やカバー力の高さは必要ではありますが、その反面、透明な効果が必要とされる場合もあります。そして、この色はカドミウム系の色より非常に高い着色効果があり、この色の鮮明さは三つ目の理由となります。混色をする際に鮮明で、綺麗な色を作り出すことができますので、この顔料の方が混色にふさわしいと言えます。
カドミウム・イエロー・ミディアム

この導入は比較的にゆっくりです。この浸透の遅さには、クロム・イエローの存在がありました。クロム・イエローは、持続性に劣る評判がありましたが、絵の具の製造会社が競って自社のクロム・イエローは他とは違う秘密のレシピで作られていると、アーティストたちを納得させていたのです。クロム・イエローは、チューブに入った安価で魅力的なゴールデン・イエローなのに対し、カドミウム・イエローは高価なために、クロム・イエローよりも良い絵の具であることを、気付かれなかったのです。
初めて有名な画家がカドミウム・イエローを使った記録は、モネによるもので、秋に黄金色になっている川沿いの柳の木を、ほとんどチューブから出した色で塗られたものでした。私はこの絵を間近で見ることがありましたが、この厚塗りのカドミウム・イエローの美しさはとても魅力的でした。持続性に富むカドミウム・イエローは、このモネの絵も何世紀にもわたって次の世代まで美しさ、鮮明さを変えることはありません。
今日では、カドミウム・イエローは色々な明暗のものが作られています。マティスのカドミウム・イエロー・ミディアムは、1820年に初めてパリで使われた色にとても近いものです。この色は、赤と混ぜてオレンジを作るのにとても使い勝手がいいのです。ゴールデン・イエローは、美しく明るい花や、成熟した麦などの日常の自然の中で見つける事のできる色です。そして、オーカー(黄土色)に混ぜて日の光が当たる効果を色々な自然の描写に使うことができる色です。この信頼できる色を絵の具箱に入れていないアーティストたちが非常に少ないことには、そうである良い理由があるからです。
オーレオリン・イエロー

これは、オーレオリンの珍しい特質で、水で薄めた薄塗りの時や、アンダートーンで顔料の美しさが明らかにされます。水彩画家たちはそのとても明るく鮮明なアンダートーンに興味を抱きましたが、アクリル絵の具画家たちは、アンダートーンと、マストーン(マストーンとは下の色が見えないように色を塗ることで、アンダートーンは薄く伸ばした時の色を表します)の美しい効果の違いを活用することができます。
この色は、断定的に説明をするには少々難しい色です。なぜなら、この色は二つの色が一つになっていると言っても過言ではないからです。ただ、ここで概要だけは注記したいと思います。まず始めに、科学的にはコバルトの化合物で、これはコバルト・ブルーほどの耐光性があるわけではありませんが、アーティストが手に入れることのできる色の中では、耐光性は高くなります。次に、とても美しく、キレイで、透明度の高いアンダートーンを作れる無機物の色は、グレージング・テクニック(グラッシ)に最適です。残念なことにこの顔料はとても高価な顔料ですが、他には見られないこの顔料の特質は、本物を作る上では少しの投資だと思います。
イエロー・ディープ

これらの色は1960年代に入手が可能になりました。それは車産業で使われる新しい色の研究に多大な投資があったからです。アーティストにとって、これは本当にありがたいことです。何故なら、車に使用される色は、強烈な屋外の環境に耐えられるように、耐光性に優れていなければなりません。このため、アーティストにとっては素晴らしい耐光性を持った顔料が手に入ることになります。イエロー・ディープは花や麦、平野や太陽、またはゴッホに影響を受けた作品などにその恩恵が受けられます。
イソ・イエロー

イエローと呼ばれているにもかかわらず、このイエローは赤色に寄った黄色で、オレンジにとても近い位置にあります。この色は異国の文明を思い出させる色といってもいいでしょう。そして、アンリ・ルソーがジャングルの中にいるトラの絵の色に使った色にとても似ています。さらに、クレーの水彩画の中にも見られる色で、仏教僧が纏っているガウンのサフラン色を思い起こします。そして夕焼けやマリーゴールドの花などにも見られる色です。
この色は、とても美しく、刺激を与えてくれる色です。赤と混ぜることで、ブリリアント・スカーレットを作り出したり、いろいろな黄色と混ぜることで、自然界で見つかる黄色を作ったり、バーント・シェンナと混ぜて、砂漠などに見られるアース・カラー(土を思わせる色)を作り出します。この絵の具を手にする理由はたくさんあり、この並外れた美しさを探求したいと思うことでしょう。
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