絵の具の色のお話





黒とグレー



黒の絵の具を使うときは、個人的には、特別にとても強く無機質に使いたい時や、揺らぎのない混色を作る時などに使うことがあります。ただそれぞれの黒の歴史などを紐解いていくと、他にも色々と試したくなってきます。あまりにも歴史の古い色でもあるので、それらを理解して使うことは、何か作品にも深い意味を与えそうです。
グレーは、カーボン・グレーやマーズ・グレーに関しては、それぞれ安定を求める際にはとても使い勝手が良いです。ペインズ・グレーの使いやすさは知っていましたが、その歴史的背景はとても面白いですよね。その昔にすでに黒では少し強すぎるからと、それよりも少し柔らかいグレーを作ってしまった人がいるのですから。昔買った初めての絵の具セットにはなかった色です。黒では強すぎるからと色々と混ぜてみては、試しましたよね。グラファイト・グレーも、鉛筆のような鈍い微妙な輝きをアクリル絵の具で表現できるのもいいですよね。今日の色のお話はそんな黒とグレーについてです。




アイボリー・ブラック

アイボリー・ブラックは、古代のローマで行われていた死んだ動物の骨を炭にして作られた顔料であることから、この名前が付いています。この骨から作られた顔料は、精製され油に加えられて原始的な油絵の具として使われていました。
初めは、二種類のブラックが作られていました。一つは基本のタイプで、普通の動物の骨から作られており、そしてもう一つはもっと高額な象牙から作られており、それは純粋で濃い色でした。現在では、象牙は絵の具を使うために使われていませんが、名前はそのまま残りました。

動物の骨を炭にして絵の具を作るのは、時代遅れのように見えますが、この同じ方法が今日でもアイボリー・ブラックを作る方法として使われています。もちろん絶滅の危機に瀕した動物の骨は使われていません。さらに、頭蓋骨や背骨も狂牛病の発生から使われなくなりました。骨は、酸素欠乏状態で、超高温で処理され、黒骨の品質をコントロールします。この顔料の良し悪しは、色味と不純物の混入具合で決まります。色が濃いほど品質の良い顔料になります。


カーボン・ブラック


カーボン・ブラックは、よくランプ・ブラックと表され、もともとは煤煙やオイルランプのランプブラック(油煙)から作られていましたが、現在では脂やオイル、タール、樹脂などの煤で作られています。カーボン・ブラックは、有史以前から使われた人類にとって最も古い顔料と言えるでしょう。この敬意に値する長い歴史を持った顔料ではありますが、ほとんどのアーティストはアイボリー・ブラックや、もっと近代のマーズ・ブラックを使います。白と混ぜることで作られるグレーは、寒色系のブルーのアンダートーンを持った色です。



マーズ・ブラック 


マーズ・ブラックは、幅広く使われる顔料で、不透明度の高さ、耐光性の高さ、保存性の高さを持っています。そして無害で健康に有害であることは発見されていません。マティスのマーズ・ブラックは、完全に不透明で、暖かいブラウン系のアンダートーンを持っています。これは、20世紀前半に発明された、合成のアイアン・オキサイドから作られています。
まだ歴史の浅いこの絵の具ですが、初心者から専門家用のアクリル絵の具まで幅広く主要生産されている商品です。マーズ・ブラックは、とても強い色で、アイボリー・ブラックに比べると3倍の色の強さを持っています。そのため、他の色に混ぜる時には、少しずつ気をつけて混ぜていかなければなりません。


カーボン・グレー


この不透明で自然なグレーは、精密にブレンドされたカーボン・ブラックとチタン・ホワイトです。この商品は、便利さと一貫性を提供しています。アーティストによっては、自身で混ぜたグレーを好むことでしょうが、カーボン・グレーは常に同じ色であるという特徴を持っています。


マーズ・グレー


この不透明で自然なグレーは、精密にブレンドされたマーズ・ブラックとチタン・ホワイトです。この商品は、便利さと一貫性を提供しています。アーティストによっては、自身で混ぜたグレーを好むことでしょうが、マーズ・グレーは常に同じ色であるという特徴を持っています。
マティスでは、ブラックから作られたグレーの提供をすることで、チタン・ホワイトで明るくされたバラエティあふれるブラックの可能性を見ていただけると信じております。


グラファイト・グレー


グラファイトは、ありふれた柔らかな炭素で、1789年にドイツの地質学者、アブラハム・ゴットロープ・ウェルナーによって名付けられました。これは古代ギリシャの言葉で、書く・描くという意味を表しています。グラファイトは、鉛筆の芯を一番に連想させます。
マティスでは、グラファイトの顔料を使ってこのユニークなグラファイト・グレーのアクリル絵の具を作りました。それは少しブルーで寒色系です。そして淡いグラファイトの輝きが、乾燥した時に現れます。
面白い使い方として、この絵の具を(バーニッシング)ツヤ出しに使うことです。バーニッシングとは鉛筆画で紙の凹凸がなくなるまで塗り、ツヤが出ることを言います。


ペインズ・グレー


ペインズ・グレーは、とても暗いブルー系のグレーです。この色はよく、強く、支配しすぎてしまう黒の代わりに使われます。この名前は顔料に由来する名前ではなく、この色を作ったアーティストから来ています。
ウィリアム・ペイン(1760−1830)は、影響力の強いイギリスの水彩画家で、美術の先生でした。彼の時代は、急進的な時代でした。彼は、インディゴ、ロー・シェンナ、レーキで構成された中性の色合いを作り、これを黒と白で作ったグレーの代わりに使いました。この色が今日知られるペインズ・グレーで、アート・コミュニティで広く使われるようになりました。マティスのペインズ・グレーは、ウルトラマリン・ブルーとマーズ・ブラックで作られています。
寒色系のブルーのアンダートーンを持つこの色は、すぐに明らかになるものではありません。チューブから出したものや厚塗りしたものは、寒色系のブラックに見えます。しかし、薄く塗った場合にブルーの色味が出現してくるのです。
ブラックの代わりに使う場合、ペインズ・グレーは、いろいろな色をくすませず、汚れた感じにすることなく陰影をつけます。レッド、ブラウン、グレー、ブルー、そしてグリーンに陰影をつけるのに向いています。さらに、半透明であるため、何層かのレイヤーにすることで、黒に近づけることができます。




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