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6月, 2020の投稿を表示しています

色のお話:ブルー2

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ブルーの第二弾です。ブルーには歴史的に見てもとても古いものが含まれています。何千年も前からあった色も安全性や安定を求めて改良されてきました。顔料の歴史の中には、それぞれの用途がとても興味深く再確認されていきます。特にブルーは原色の一つです。歴史が深くとても面白いものと思えるのではないでしょうか。そして歴史がある絵具であるほど、その色を使う時、その時間も込めて作品の制作をしていると思うと、あなたの作品が歴史の流れの中にあることを感じ、制作意欲も高まるのではないでしょうか?色の背景を知って、絵を描くことを楽しんでみて下さい。 プルシャン・ブルー セルリアン・ブルー コバルト・ブルー コバルト・ターコイズ オーストラリアン・ブルーガム サザンオーシャン・ブルー コバルト・ティール プルシャン・ブルー マティスのプルシャン・ブルーは本当に「わぁ!」と声が出てしまうような色です。フタロシアニン・ブルーが、初めにアクリル絵の具が 作られた頃の基本の暗いブルーとされていたのには、プルシャン・ブルーが、アルカリ性の乾燥していないアクリル絵の具に、影響を受けやすく、不安定な状態になってしまうからでした。プルシャン・ブルーは工業水準でしたが、その後の色の開発は百年以上行われませんでした。なぜならこの色はその状態でもよく売れたからです。そのため、ある階級のもので、粗末に作られたものもありました。ある製造者は、これらの色は洗濯剤に入れられることが多いので、品質はそれほど必要ではなかったのだと推測しています。この無頓着さがそのまま不実なアーティスト画材の製造会社で作られたため、20世紀の中頃にはプルシャン・ブルーの評判にはムラがありました。 そして近年になってやっと、プルシャン・ブルーは本当の姿を見せはじめたのです。昔使っていた色の構造では扱えない製造の種類が、どんどんと増えてきています。産業を支えるために化学者は、近年のモダンなプラスチックやペイントとして使える品質の新しい色を開発しました。この為、高品質で前世紀のように、悪く粗末なプルシャン・ブルーで悩まされることがなくなったのです。マティスでは長い間新しい種類の色の試験をし続け、その長い道のりの結果マティス・プルシャン・ブルーが出来上がりました。プルシャ...

色のお話:ブルー 1

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原色の一つ、ブルーのお話です。ブルーもたくさん色があるので二つに分けます。地球は青いと言いますが、赤や黄色と同様、 子供の頃から慣れ親しんだ色ではないでしょうか?青い海、青い空、そして地球は青かった。しかし、青にもいろいろあります。微妙な色の偏りは混色の時にも大きな違いを出します。個性的なパレットを作るためや、本当に好きな色の混色を探すため、基本的な混色のルールを超える自分だけの何かを見つけるためなど、色や顔料のことを知って、そして、それをヒントにして、自分だけの色の組み合わせを楽しんでください。 オーストラリアン・スカイ・ブルー ミネラル・ブルー ウルトラマリン・ブルー ミッドナイト・ブルー マティス・インディゴ フタロシアニン・ブルー プライマリー・ブルー オーストラリアン・スカイ・ブルー マティスのオーストラリアン・スカイ・ブルーは、ウルトラマリン・ブルーとチタン・ホワイトのブレンドです。この混合をチューブで持っているのは、風景画家にとって本当に便利です。そしてこの色は、空を描き始めるのにとても使いやすい色です。ただ、この色を始めに塗ってしまうという意味ではありません。空の色は時間や季節、または日によって違います。高い空は色が濃く、水平線へ近づくにつれて薄く柔らかくなっていきます。一色でこれを表現することはできません。もちろんオーストラリアン・スカイ・ブルーもそれを考えているわけではなく、理想的なスカイ・ブルーがやらなければならないことをこなします。それは、様々な空の色のベースとして使うことで、平均的な日の空の色を描くことができます。 これまでに、本当の意味での単色顔料で、スカイ・ブルーという色はありません。19世紀まで使われたアズライトが一番近いものとされていましたが、白を使って明るくする必要がありました。セルリアン・ブルーが現代のアズライトに変わる色で、そして白と混ぜることで北ヨーロッパの空の色を表現することができます。オーストラリアの空は、違った特性を持っており、通常ウルトラマリン・ブルーがその色を表すのに近いとされています。特に夏の間や、乾燥した地域の空の色と言われています。そのため、オーストラリアン・スカイ・ブルーは、ちょうど良いオーストラリアの空の描き始めの色になり...

色のお話:ベネチアン・レッドからパープルへ

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ベネチアン・レッドやマルーン、ローズマッダーと言えは、くすみと鮮明さとの間を行き来しているような、でも暖かい綺麗な色ですよね。そして青に向かう紫もここのグループに入れました。歴史的背景、化学的背景、そしてアーティストとして、いろいろな角度からそれぞれの色を見たときに何か新しい発見があるかもしれません。絵を描くことの面白さはその中にある色をどのように使うかということも含まれています。 ベネチアン・レッド トランスパレント・ベネチアン・レッド パーマネント・マルーン ディープ・ローズマッダー バーガンディー ジオキサジン・パープル パーマネント・ライト・バイオレット ベネチアン・レッド ベネチアン・レッドは素晴らしい特徴を持つ純粋な酸化鉄(アイアン・オキサイド)です。この名前が付けられたのは、ベニスの内陸側で取れる自然の酸化鉄の色が、ポッツォーリ近くで見つかる濃いバイオレット・アイアン・オキサイドと、その他に見られる普通のレッド・オキサイドの中間ぐらいの色だからです。これは、相対的に暖系のマストーンを持ち、比較的に寒系のアンダートーンを持つ珍しい特性を持っているので、特徴のあるピンクを作るのに最適です。(マストーンとは、絵の具そのままの色のことで、特に厚めに塗った時の色のことです。アンダートーンとは、薄塗りした時の色のことを言います。)普通のレッド・オキサイドのような、不透明度ではないことから、このアンダートーンが非常に輝きを持ちます。ベネチアの画家達は、特にティッツィアーノ・ヴェチェッリオの使い方を見てもわかるように、この色を生まれつきのセンスの良さで使い分けました。 そしてこの色はイタリアでとても有名になりました。ベニス郊外にある採石場では、ティッツィアーノが使っていた顔料であると言われる採石場が有り、少量を今でも製造していると言う事ですが、大量生産には足りないぐらいの少量という事です。その代わりに、工業生産はその他のベニスの地域へ移行しました。なぜなら、自然のオーカーの製造には色々な質の原料が必要だからです。しかし、ほとんどの製造会社は、自然のオキサイドに比べて純粋な赤である事と、確実であるから合成物を使っています。これは耐久性の高い色の一つで、薄く塗られた箇所の耐久性も高いことが知られてい...